紹鴎という人

2017/02/22 ブログ
茄子茶

茶史では逸せられない武野紹鴎という茶人は近年研究が進み、今までにないさまざまなことが語られ出して来た人物で、従前の知識の変更を余儀なくされている。

 

堺で皮革商を大きく営む二代目で、早くから連歌(数人が集まり五七五と七七の句を交互に作る歌会)の世界に親しみ、当時の歌学の大御所三條西実隆のもとへ出入りして歌会にも参加した記録はあるが、どうも成功したといえるほどの才能はなかったようだ。ただ、のちの伝承からするとこの実隆から受けた和歌の心をもって、珠光の始めた侘び茶の傾向に着目し更に進めたところに、他の同時代の茶匠にはない紹鴎ならではの選択と独創があった。

歌が象徴する美を、めざす茶の心として示すことができた、というあたりが連歌の功徳と見られようか。(口絵は紹鴎茄子茶入)

 

現在流布している茶系では一口に、珠光・紹鴎・利休とつながってきたように言い、それであれば紹鴎の顕彰は利休が動いてもよさそうだが、実際にはそんなことはなかった。

 

上記の三代系譜は侘茶の進展に大きく貢献した人物三人を時代順にならべてみたという程度の意味でしかなく、利休の師としては紹鴎のほかに数人の名があがるほどで、侘びの継承という以外紹鴎が主たる師とまではいえないようである。

このことは珠光・紹鴎の間については更に極端で、ふたりが対面したことはなかったであろうというのが通説だ。

 

 

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