浅草・鮨 橋口
新築を機に、蔵前から浅草浅草寺脇、ニ天門交差点の近傍に出店したお寿司屋さん。この淺草寺界隈はさすが江戸っ子の溜り場だけあって、有名無名のすし屋が犇めいている。
初めから大将の希望は、数寄屋風意匠のすし屋が皆無のこの土地に、ぜひとも数寄屋らしいテイストの店を出したいとのこと。ただ、常連さんに迷惑をかけるほど小さな店になるので、看板やそれとわかるサインは不要にという条件。土地主からは、なるべく平屋で浅草寺の塔が通りから見えることが条件。隣地は大きな駐車場。これでイメ-ジは決まった。片流れの低い屋根の下に上る棟を見上げるような位置取りの長手の室内カウンタ-。正面は塀の奥に迎えるように顔を覗かせる妻破風。小さな前庭も挟んで通りの人の目線をぎりぎり切る程度の低い土塗り塀と猿戸風の木戸。
これを若いが腕の良い大工さんと左官屋さんが要所をきっちりと納めてくれて、数寄屋らしい、いい店ができた。